"FM fan" magazine, 1976, no.19
Colour special
PAUL MAURIAT. LOVE IS STILL BLUE
日本びいきのポール・モーリア。新しいメロディガ浮かぶとすぐにピアノに向かい、日本製のスピーカーを通してその曲の出来具合を確かめる。「音楽は誰もガ親しめ楽しめるものでなくては...」というのガ彼の信条だろうか。恋人と語らっている時も、一人で孤独の時間を過ごす時にも、ボール・モーリアの作り出すサウンドは抵抗なく耳に入つてくる。新作アルバムでみせだ新鮮なアレンジを持つて、10月にはまだ"第二の故郷"日本へ戻ってくる。
"FM fan" magazine, 1978, no.25
Colour special
PAUL MAURIAT IN CROSSOVER
来年3月に来日するポール・モーリア。‶イージーリスニングポール・モーリアを中心に動く‶といわれるほどの人気とサウンド・メイキングは、いまさら紹介する必要のないくらいだ。その彼も、ひとつのサウンドのうえにどっかりと腰を下ろしたままというわけでなく、「常に新しいものを求めるのが制作信条」というように、時代にマッチした音楽にも意欲をみせている。
その‶実験‶ともいうべきものが、ジョン・トロペイ、ブレッカー・ブラザーズ、リチャート・ティーら、ニューヨークで活躍するスタジオ・ミュージシャンを従えてレコーディンクした「オーバーシーズ・コール」だ。いわゆるクロスオーバーに挑戦したアルバムというわけだが、最近ブラジルものと取り組んたりしたポール・モーリアの新境地を示したものといえよう。ジャズ・フィーリングと、フランス人ならてはのエレガントなセンスがミックスされた不思議な味の作品である。おそらく来年のコンサートてもみせてくれるてあろう‶ニュー・ポール・モーリア‶の姿が、ここでも十分にうかがわれる。
"FM fan" magazine, 1980, no.12
Colour special
PAUL MAURIAT. BRAZILIAN HOT SOUND III
7月に「ブラジル・シリーズ」第3弾
ことし春55歳の誕生日を迎えだポール・モーリア。この秋には10度目の来日公演が予定されていて、ちよつとしだ区切りの年になりそう。レコーディングにも相変わらず精力的で、ア月には、先のロ南米旅行の成果を踏まえだリス「録音のLP「工アロソング」(仮題)ガ発売される。「アルフオンシーナと海」(アルゼンチンのタンゴ)、「灰色の雲」(ベルーのワルツ)など訪問国の歌に加えて、スリジナル1曲が収められ、サウンド的にはガなり熱つぼいムード。彼にとっては「愛の終わりのサンバ」「夜明けのカー二バル」に続いてこのシリース3枚目。従来のシンブルなヨー口ツパ・ムードからは離れだ意欲的な作品になつているが、秋の来日に合わせてア月にパリでレコーディングされる予定の新作は、正統的なボール・モーリア・ファンも満足できるLPになるとのこと。世の中が騒々しくなるにつれ、モーリア・サウンドのような安らぎと落ち着きを与える音楽の必要性も大きくなってくる。リチャード・クレイダーマン、フランク・ミルズなど若手のミュージシャンの台頭が目立つイージー・リス二ング界だが、大御所ボール・モーリアはまだまだ健在である。
On photo: 市内を愛妻とねり歩く
"FM fan" magazine, 1981, no.30
Colour special
PAUL MAURIAT. THE CHEF OF LOVE SOUNDS
本誌特別取材'81パリ・コレクション⓹
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On photo 1:
▲撮影中犬を連れた老人に話しかけられた「あんたのアザラシの毛皮もいいけど笑顔はもっとすばらしいよ」
On photo 2 (Bois de Boulogne):
自宅から遠くない所に位置するブーローニュの森で
On photo 3 (drive the car):
▲愛車(BMW)を運転するモーリア
ポール・モーリアの根強い人気を物語るデータがある。昨年来日しだアーティストの中で、コンサート動員の一番多かつだのが、ポール・モーリアだったそうだ。全国津々浦々、これだけひんばんにコンサートを開いて、ファンの支持を集めだミュージシャンはさらにはいない。めまぐるしく移りゆくポピュラー地図の上で、ポール・モーリアは、確固だる位置を占め続けている。一口に10年といっても、大変な歳月である。この間、彼は驚くほど大量の、しかも質の高い音楽を作り、世に送り出してきだ。アレンジのオ能の豊かさという点では、彼の在に出るものはいないだろう。ヒット曲をポップに、華麗に展開するモーリア・ミュージックは、来日の度に、何ガ新しいものをつけ加えてきだし、それだけ若いファンを魅了し続けてきだ。もちろんそれは、モーリアが世界に耳を開いて、いち早く現代感覚にマッチしだ曲作りに成功しているだめばかりではない。フランスという土壌に
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根づきながらポップを目指すミュージシャンのもつ、微妙なバランス感覚の見事さとでも言ったらいいのだろうか。オーケストラの華やかなムードとポップなリズム感覚との間を揺れ動く振り子は、自由自在に振れ動き、聴く者の心を自然になごませてしまう。「恋はみずいろ」のヒット以来、イージーリス二ングの世界に君臨してきだポール・モーリアの端整な笑顔に接する度に、彼こそポピユラー音楽の「料理番」に一番ふさわしいのではないかという気がしてならない。=1月30日昼ヌイイの自宅及びブーローニュの森で(摄影·米田泰久)
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ポール・モーリアの新作は6月ごろ発売予定。「ウーマン・イン・ラブ」や「ギルティ」などパリでヒットしているポップスを中心に構成されている。
On photo 4 (with Adamo):
時ならぬ「2大スターの共演」地下鉄の駅で偶然にアダモと出会った全くのハプニングである
On photo 5 (Boulevard house 59):
パリの高級住宅街ヌイイにあるモーリアのマンションここの3フロア分を使っている
"FM fan" magazine, 1983, no.20
日本の秋を彩るポール・モーリア
映画、コンサート、新譜......最新情報
PAUL MAURIAT
季節はいつの間にか、秋。イージーリスニング・ミュージックを聴くのに最適な季節の訪れである。数多くあるイージーリスニングのレコードの中で、やはりまずポール・モーリアのものに手が出てしまう、とおっしゃる方は相変わらず多いようだが、特に今年の秋はその傾向が強まりそう。
なぜなら、まず、映画「オータム・ストーリー」が封切られる。不治の病であと6週間の生命・・・といわれた少女が、バレエに賭ける物語のテーマ音楽を、ポール・モーリアが自作自演で、さらにドラマティックに盛り上げている。これまでに、ヨーロッパ各国や日本の映画のために音楽を書いたことはあるが、アメリカ映画の音楽は今回が初めて。映画全体の音楽は主演者でもあるダドリー・ムーアが書いているが、ただ1曲のテーマ曲をポール・モーリアが書いたため、映画そのものまでがヨーロッパ的上品な印象になってしまったと評判。映画も音楽もヒット、という久しぶりの快挙が、今秋は実現しそう。
もうひとつ、13回目の来日がある。10月15日(東京)から12月5日(大阪)までの50日間、今回も精力的に日本の秋をより彩り華やかに演出してまわるわけだ。ストリングスの美しさが初期のころと同じ魅力を持つようになった最近のポール・モーリア。第2期黄金時代を今迎えているといえるだけに、この目で、この耳で実際に確かめたくなるのではないだろうか。
映画館とコンサート・ホールでポール・モーリア・サウンドを満喫した次の日は、もちろん自分の部屋でレコードを取り出して1人だけの音楽鑑賞ー。先ごろ出た「恋する瞳』に続く最新作として、来日に間に合うように『フラッシュダンス/ポール・モーリア』が発売準備中らしい。「愛をもう一度」(セルジオ・メンデス)「ウーマン・イン・ユー」(ビージーズ)などの最新ヒットの数々が、ディジタル録音で収録されているという。楽しみだ。
(宫本警/Mr. Miyamoto)
"「ある愛の詩」を超えた80年代の新しい涙の物語"とワシントン・ポスト紙が評した映画「オータム・ストーリー」涙のクライマックス・シーンをポール・モーリアの音楽がドラマティックに盛り上げる
(写真提供・東室東和/photo: Towa Higashiro)
"FM fan" magazine, 1984, no.3
ポール・モーリアとイ・ムジチが東京て、出会った?
クラシックとポピュラー音楽それぞれの分野で抜群の人気を誇るVIP同士が、東京の銀座で初めて顔を合わせた。クラシック音楽のイージー・リスニング派というか、ジャンルや世代を超えて多くの音楽ファンに愛されているイ・ムジチ合奏団と、バロック音楽も演奏するイージー・リスニングの雄ポール・モーリア。お互いに名前だけは知っていても声をかけ合ったことはないこの人気楽団のリーダー同士が、旅先の日本でバッタリ。握手を交わした。「恋はみずいろ」の大ヒットでビルボードのチャート第1位にもランクされたイージー・リスニングのビッグ・スター、ボール・モーリアは自らのオーケストラを率いて13回目の来日。今回の日本楽旅でもなんと30万人を動員したという。音楽活動20年で1420曲をレコーディングしたという精力的な仕事ぶりも驚異だが、定評のある曲をそのつどアレンジを変えて聴き手を魅了する手腕もさすが。近年はチェンバロを表面に出したりするクラシカルなアンサンブルが好評だ。マルセイユ出身らしい地中海的な明るさは、イタリア・バ
ロックの王者イ・ムジチの魅力に通じるものがあるのかもしれない。一方、"「四季」のイ・ムジチ""イ・ムジチの「四季」"としてあまりにも名高いイ・ムジチ合奏団の来日は10回目。日本で彼らの演奏会を聴いた人はのべ40万人を超える。現在のコンサート・マスターは4代目のピーナ・カルミレッリ。イ・ムジチの「四季」、日本でのLP売り上げトータルが200万枚。これはクラシックのレコードとしては破格のもの。もちろんイ・ムジチのお得意は「四季」だけではない。フルート協奏曲の「海の嵐」や「忠実な羊飼い」は定評のあるものだし、それらを含む「ヴィヴァルディ大全集」(Ph15PC233〜58\39,000)といった大作もある。「四季」に続いて人気急上昇中なのは「アルビノーニのアダージョ」(Ph28PC85、28CT9=カセット)。オーソン・ウェルズの映画「審判」にも使われた名曲だ。ポール・モーリアとピーナ・カルミレッリ、それにイ・ムジチのメンバーたちは、あわただしい演奏会のあい間をぬって、冬の1日、"銀ブラ"を楽しんだ。(撮影・太田威重)
on photo:
相変わらずダンディなモーリアと、イタリアの名バイオリニスト、カルミレッリ女史
"Shukan Asahi"週刊朝日Magazine, 1985/12/13
EUROPE & AMERICA
男たちの居心地空間
連載11写真と文=南川三治
ポール・モーリア
Paul
Mauriat●1925年マルセイユ生まれ。59年にパリへ出てアレンジャーの仕事をしたあと、自分の楽団を持つ。ミレイユ・マチューの「愛の信条」のほか、「エーゲ海の真珠」「オリーブの首飾り」などの代表作がある。
工グゼクティブの町
パリのシャンゼリゼ大通りをまっすぐに進み、凱旋門を抜けてしばらく行くと、セーヌ川にぶつかる。その一帯はヌイイ地区と呼ばれ、パリで働くエグゼクティブたちが好んで暮らす、高級住宅街である。セーヌ川から立ちのぼる冬の重い霧の中を毎朝、犬を散歩させる老人の姿がみえる。鼻の頭を真っ赤にしながらジョギングをしている若者もいる。「恋はみずいろ」など、イージーリスニングのヒット曲を数々生んだポール・モーリアも、ヌイイ地区の住人のひとりだ。七年前から、四階を事務所兼スタジオに、三階を自宅にして、夫人とふたりで住んでいる。自宅部分の広さは約百平方km。寝室と食堂、それに十五畳分くらいのサロンがひとつのフラットに納まっている。サロンの床にはペルシャ滅談が敷き込まれ、壁には友人たちから贈られたタピストリーがかかっている。「このあたりはパリの中心街に近いのが魅力なんだ。なにしろ凱旋門まで車で五分。分きざみのスケジュールに追われる人間には大変地の利がいい。しかも静かでね。朝夕には小鳥のさえずりも聞こえるんだ」ヌイイ以外にも別荘を南フランスとスペイン国境のペルピニオンに持っている。「夏場は、そこで一カ月半ほどのバカンスをのんびり過ごす。日本の友人を招待することもよくあります」この秋は、日本全国二十カ所あまりのコンサートツアーを行い、その準備に一カ月前から忙殺された。細身の体のどこにこんな力が潜んでいるのかと不思議に思えるくらい、エネルギッシュに仕事をこなしている。「かなり以前からシンフォニーオーケストラを指揮したいとは思っていたんだけど、なかなか機会がなくてね、それを来年はぜひ実現したいと思っています。もフランス国内で発売されたレコードだけでも、彼が作曲したのは八百曲を超える。
そして、忙しい公演のあい間をぬって、フィレンンツェやローマに出掛け、美術館や骨董品屋をめぐりながら、次の作品の構想を練るのだという。
Asahi Shimbun 朝日新聞 1996/02/14
6年ぶり来日のポール・モーリア
音楽に完べきなゴールなし
71歳、くハードな日程も楽々
「恋はみずいろ」「オリーブの宙飾り」などのヒット曲でおなじみの指那者、ポール・モーリアが六年ぶりにオーケストラを率いて来日し、各地でコンサートを開いた。今年七十一戴。「やりたいことをやるのに何の心配もないよ」と、休みなしでハードな演炎スケジュールをこなした。
十八歳で音楽活動をはじめ、半世紀以上たつ。ポール・モーリア。グランド・オーケストラは結成三十周年を迎える。イージーリスニングと呼はれた彼の膏楽は、かつての勢いほないものの、十九回目となる今回の十郡市・十四公演でも各会場はほぽ満鵬。息の長い人気を傑っている。大の親日家として知られ、「初来日から、日本滞在日数を合計すれは三年分くらいにはなるでしょう」と笑う。「日本のコンサートで"おみやげ"の習慣を知った。感動したお客さんからその場でマフラーやジャケットなどを頂いたこともある。今もすべてパリの圏宅にありますよ」。昨編の阪神大盤災では、レイモン。ルフェーブルらとカルテヅト・フォー・神戸を結成し、チャリティーアルバムも発裂した。「膏榮を区別するのは嫌い」の欝葉通り、取り上げてきた作品はクラシヅクからジャズ、ラテン、ポップス、日本のヒヅト曲まで幅広い。「一帝大班姑のは、肉分の心で感じたものを伝え、相手の心に何かを厚えること」。それが不変の圏分の考え方だと舗る。引退について聞くと、「契は前回の来日ツアー(九〇郎)が最後だろう、と心の中では思っていた。でも、音楽に完ぺきなゴールはありません。時陶がたち、再びやろうという気になった。先のことは園分でもわからないのです」。
On photo:
「健康の秘けつ?食事の時に飲む一杯のフランスワインかな」と語るポール。モーリア=束京。新宿のホテルで